令和5年度熊本県予算について〜県政史上最大の予算で取組加速化〜《前編》

令和5年度熊本県当初予算解説

こんにちは。はしぐち海平です。令和5年度の熊本県当初予算の概要について簡単に解説をしていきます。

目次

令和5年度熊本県当初予算は、県政史上最大9,126億円へ

令和5年度当初予算は、県政史上最大の9,136億円となっており、前年度の当初予算と比較してプラス105億円となっています。令和5年度は、新型コロナウイルス感染症への対応や、熊本地震・令和2年7月豪雨災害からの創造的復興のほか、TSMC関連(半導体関連産業の更なる集積)やDX(高度情報化)、移住・定住関連の取組みなどを更に加速化していきます。

概要その1:令和2年7月豪雨からの創造的復興(238億円)

  • 施策1:被災者・被災地域の1日も早い復旧・復興に向けた取組み
  • 施策2:県内全域で取り組む災害に強い郷土づくり

概要その2:新型コロナウイルス感染症を踏まえた対応(1,025億円)

  • 施策1:感染症対策の体制強化
  • 施策2:持続可能な社会の実現
  • 施策3:持続可能な経済活動の実現

概要その3:熊本地震からの創造的復興(151億円)

  • 施策1:くらし・生活の再建
  • 施策2:創造的復興の推進

概要その4:将来に向けた地方創生の取組み(199億円)

  • 施策1:次世代を担う人材の育成
  • 施策2:若者の地元定着と人材育成
  • 施策3:安全・安心な社会の実現
  • 施策4:魅力ある地域づくり

令和5年度における重点的な取組み/地域の課題解決

  1. 半導体関連産業の更なる集積に向けた取組み
  2. 高度情報化の推進に向けた取組み
  3. 移住定住の推進に向けた取組み
  4. 交通安全水準の向上に資する取組み
  5. 球磨川流域における緑の流域治水の推進
  6. 水俣病問題

令和5年度当初予算のポイント

TSMC関連(半導体関連産業の更なる集積)や、DX(高度情報化)、移住・定住の取り組みをさらに加速化していきます。

1.TSMC関連(半導体関連産業の更なる集積) 80億円

【人材育成・確保】
・若年層への周知啓発や職業訓練などを活用した人材の技術力向上、半導体関連中小企業の採用力強化を推進

【渋滞・交通アクセス対策の推進】
・セミコンテクノパーク周辺の渋滞解消や交流人口増加に対応する、熊本都市圏北部の将来の基幹となる道路ネットワークを強化
・交通アクセス向上に向けた車両感知器等の設置や、渋滞緩和に向けた通勤バスの実証運行を実施

【TSMCの進出を契機とした国際交流の促進等】
・台湾との相互交流で県内企業と台湾企業の連携推進や取引拡大を促進(台北線定期便化に向けたアウトバウンド対策を含む)

【外国籍駐在員子女の教育環境の整備】
・外国籍駐在員子女の県内教育機関における受入体制を整備

【地下水保全対策】
・新たな観測井戸の設置や水循環シミュレーターによる現状把握や将来予測の実施、企業等による地下水かん養の促進

【その他】
・熊本大学や県内企業と連携し、半導体人材の育成や共同研究の強化による国内初の三次元積層実装の量産化を確立し、新たな地域産業や雇用を創出に向けた取組みを推進
※「三次元積層実装」…半導体チップを垂直方向にも積層し、全体的な処理速度をあげながら消費電力の低減もめざしていきます。より効率的な処理能力を持つ半導体の量産につながります。

2.DX(高度情報化)の推進 14億円

・官民データの相互連携による行政・民間サービスを創出するため、県内共通の「エリア・データ基盤」を構築するなど、県全体でDXを推進
・デジタルマーケティングや、観光施策の様々な成果を横断的に蓄積・分析するデータ基盤の導入で、DXによる観光分野の「見える化」を推進
・県内農林水産業の維持・発展のため、スマート農林水産業の研究や実証、生産者への理解促進の取り組みなど、農林水産分野におけるDXを推進

3.移住・定住の推進に向けた取組み 9億円

【選ばれる熊本の実現】
・デジタル技術を活用したプロモーションの展開
・高校卒業生に対する情報発信強化など関係人口拡大の取組みを推進
・移住希望者のお試し移住や採用活動への支援、奨学金返還サポートの実施
・市町村との連携強化

災害に強い熊本への取組みを推進 令和5年当初予算 1,757億円

熊本地震・令和2年7月豪雨災害からの創造的復興、国土強靱化の更なる加速化などに向けてさまざまな取り組みを推進していきます。

1.熊本地震からの創造的復興  151億円

熊本地震からの創造的復興に向け、益城町の土地区画整理事業や熊本高森線の4車線化を引き続き推進します
・「くまもと産業」の創造的復興を発信するエキスポ(博覧会)の開催
・阿蘇くまもと空港の恒常的な国際貨物輸送に向けた実証
・阿蘇くまもと空港アクセス鉄道の事業化に向けた検討をさらに深めるための調査 など

2.令和2年7月豪雨災害からの創造的復興 238億円

令和2年7月豪雨災害からの創造的復興に向け、被災された方の住まいの再建や人吉市の復興まちづくり、「緑の流域治水」の取組みなどを推進。さらに、球磨川流域復興基金を活用して市町村の取組みを支援します。加えて、振興計画に基づく五木村・相良村の振興に取り組みます。

球磨川流域復興基金による市町村支援においては「災害公営住宅等コミュニティ形成支援」「復興まちづくり拠点整備」「消防体制の強化推進」「雨庭の整備」を新たに支援メニューに追加。

3.社会インフラ等の整備促進 1,368億円

県民の皆様の生活を支えるとともに、災害に強い熊本づくりを進めるため、幹線道路ネットワークの整備や河川・砂防・港湾施設の整備、農林水産業関連施設の整備等を推進します。

公共土木施設の整備

  • 道路ネットワーク(中九州横断道路等)の整備
  • 河川の改修・しゅんせつ
  • 重要港湾(熊本港・八代港)の整備  など
九州中央自動車道(山都通潤橋IC)
国道325号菊池拡幅

農林水産業関連施設の整備

  • 排水機場等の整備
  • 森林整備、山地災害の防止
  • 漁港の耐震化、護岸の整備  など

4.防災、減災・国土強靱化の推進 284億円(令和4年度2月補正後予算)

国の「防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策」に基づき、令和4年度12月補正及び2月補正で284億円を予算化しました。

川内川砂防堰堤整備
牛深ハイヤ大橋

令和5年度熊本県予算解説(前半)のまとめ

令和5年度熊本県予算について、概要と「重点的な取組み」「災害復興」「インフラ整備・国土強靭化」についてまとめています。次回の(後半)では、withコロナに向けた「新型コロナウイルス対策」や「地方創生」「コロナ禍、原油価格・物価高騰対策」についての予算の内容についてまとめていきます。

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