こんにちは。はしぐち海平です。6月の熊本県議会定例会において一般質問を行いました。多くの方に傍聴いただき誠に感謝しております。今回の定例会において私が議題に挙げた各質問を今回書き起こしましたので、ぜひ皆様にもご覧いただきたいと思っています。
はしぐち海平令和5年6月定例会一般質問:その1
人口減少社会について(1)人口減少社会の認識
はしぐち海平 質問
人口減少社会について質問します。現在、日本の人口は2023年5月1日現在で、約1億2,450万人で、前年の同月に比べ約57万人のマイナスとなっております。2008年、今から15年前に日本の人口はピークを迎え、約1億2808万人となっております。15年間で、約358万人も人口が減少したことになります。15歳から64歳まで、いわゆる生産年齢人口は2023年5月1日現在で約7,397万人、ピークが1995年の約8,726万人でした。28年間で1,329万人も減少しております。
2022年の出生者数は初の80万人割れで、77万747人、出生数は比較をするのが難しいのですが、第一次ベビーブーム、1947年から49年までですが、その時は過去最高の269万6,638人、第2次ベビーブーム、1971年から74年ですが、209万1,983人でした。現在の出生数からすると、非常に多いわけですが、人口を維持する合計特殊出生率が2.07と言われておりまして、第2次ベビーブームの最終年には2.05だったので、その時から人口減少の予兆があったのではないかと思います。
一方、本県の人口は2023年5月1日現在で、170万8,959人、前年の同月に比べ9,656人のマイナスとなっております。本県の人口は1956年にピークを迎え、約190万3千人でしたので、ピーク時から比べると約19万4千人が減少したことになります。出生数は1949年、第1次ベビーブームの6万2,911人、第2次ベビーブームの2万6,433人、そして昨年2022年は1万1,875人となり、減少傾向が続いております。
人口減少を食い止めるために、政府でも異次元の少子化対策、本県でも人口ビジョンを策定し、様々な少子化対策を行っております。人口ビジョンでは、このまま何も対策を講じなければ、2060年の人口は124万3千人まで減少。しかしながら、予測される人口減少に対し、県民の希望・理想が実現した場合の出生率や、社会減を2023年までに半分程度に縮小し、その後は人口移動が均衡する仮定を設定し、2060年の人口を141万1千人程度とする将来展望を示しております。この数字は2021年の数字ですが、人口ビジョンを策定した2015年の将来展望は144万4千人でした。新型コロナウイルスなど、様々な影響があったにせよ、なかなか人口ビジョン通りにはなっていないと感じております。そしてまた、いくら様々な対策を講じても、人口が減少していくことは避けられないことで、人口が減少している中でどのように熊本の未来を創っていくかを考えないといけないと思います。
そこで質問です。今まで申し上げたように、本県の人口が減少していく事をどのように認識しているのか。またこの人口減少時代をどのように乗り越えていくのか。知事にお尋ねします。
知事 答弁
人口減少は、生産力の低下や消費市場の規模縮小だけでなく、深刻な担い手不足、また、地域文化やコミュニティ維持が困難になることなど、地域の将来に大きな影響を与えることから、強い危機感を持っています。
全国より10年早く人口減少局面に突入している熊本県の現状を踏まえると、出生数が増える環境をつくり、そして、転出者と転入者の差である社会減を縮小させて、人口減少を抑制していく必要があります。
私は、第2期熊本県まち・ひと・しごと創生総合戦略に基づき、子どもを安心して産み育てられる環境づくりや、若者の地元定着、魅力ある地域づくりなど、地方創生の取り組みを進めてきました。その結果、本県の社会減は、令和元年の3,900人から令和4年には377人まで縮小しています。今後も、高校卒業者の県内就職率の上昇、半導体企業の集積による新規雇用の増加、さらに、移住・定住の促進などの取り組みを進め、人口減少の抑制を図って参りたいと思っています。
併せて、人口減少社会であっても、持続可能な社会づくり、地域づくりを進めていく必要があります。地域の方々と様々な関わりを持つ関係人口の創出と拡大は、地域の活性化や地域づくりの担い手確保にもつながります。そのため、県では、更なる関係人口の拡大をめざし、全国の熊本ファンをターゲットとしたラブくまプロジェクト、長期滞在や定期的な訪問が期待されるワーケーションの推進などに取り組んでいます。
このような取り組みにより国内外の熊本ファンを増やし、そうした方々の力を取り込むことで、持続可能な「新しいくまもと」の実現に取り組んで参ります。
人口減少社会について(2)労働力確保について
はしぐち海平 質問
続きまして、人口減少社会の労働力確保について質問します。先ほど申し上げたように、人口減少だけではなく、生産年齢人口も減少しております。現在、様々なところに足を運ぶたび、どこの業界でも、人手が足りない、人材を確保するのが難しい、という話を聞きます。
様々な業界において、人材を確保するために、例えば学校へ出前事業に行ったり、また職業を知ってもらうイベントを開催したり、様々な団体が努力をしております。また業界団体だけではなく、企業においても人材を確保するために、働き方改革を熱心に行ったり、ブライト企業に登録しアピールしたり、もちろん給与も上げたり、企業側も人材確保のために必死で取り組んでおります。この様に、人材の奪い合いになっております。
そして本県ではTSMC・JASMの稼働が近づいております。またそれに関連した企業も熊本に、どんどん誘致するということで、そちらに人材が集中してしまわないか、心配する声も聞こえてきます。賃金に関しても、熊本の地場小規模事業者は上げることができず、今後、人材が集まるか心配。との声も聞こえてきます。TSMCの影響で県経済が潤ったり、県民の所得が上がっていく事は、非常に喜ばしいことですし、これからも効果を最大限に広げていただきたいと思います。
もちろん人材確保のために業界団体や、企業の努力も必要だとは思いますが、人口が減少していく中で、人材を確保することはとても難しいと思います。またブラックのイメージがある業界、実際はそうではないのかもしれませんが、長時間労働や、外でのきつい作業、大変な割に給料が安い、こういったイメージから人材が入ってこない、など様々な要因があると思います。
そこで質問です。人口が減少している中、様々な影響で人材確保が厳しくなってきております。その事をどのように認識しているのか。また課題解決のため、どのような取組を行っていくのか。商工労働部長にお尋ねします。
商工労働部長 答弁
人材の確保が難しくなってきていることに対する認識と課題解決に向けた県の取組みについてお答えします。熊本労働局の発表によると、本年4月の県内の有効求人倍率は1.37倍で、コロナ前の状況には回復していないものの、全国水準を上回る状況で推移しています。また、本年3月の県内の高等学校卒業者については、求人倍率が3.69倍とバブル期を上回っており、若者を中心に人材不足の状況が顕著になってます。県内企業からは、「社員を募集しても応募が少ない」「待遇を改善しないと社員が確保できない」という声も多く聞いており、企業にとっての人材確保は、非常に厳しい状況にあると認識しています。
このような状況を踏まえて、県では、特に、若者の県内就職の促進に取り組んでいます。具体的には、若者に県内企業を選んでもらうため、「働く人がいきいきと輝き、安心して働き続けられる企業」をブライト企業として認定しています。YouTubeやSNSなどを活用し、社員の労働環境や処遇の向上に取り組む魅力的なブライト企業をPRしています。
現在、384社がブライト企業の認定を受けており、昨年度、ブライト企業に就職した新規学卒者は1,784人となり、企業からは、認定を受けることによって企業イメージの向上につながっているとの高い評価を得ているところでございます。
また、県内企業の合同説明会やインターンシップなどのマッチングフェアを実施することにより、若者と県内企業の出会いの場の創出にも取り組んでいます。なお、来年2月に開催する「くまもと産業復興エキスポ」には、多くの大学生、高校生などにも来場してもらい、県内企業の技術力の高さを体感していただく予定です。
一方、人材確保に悩む県内企業に対しては、無料で専門家を派遣して、若者に印象付ける自社のアピールポイントの発見や採用担当者の育成などの伴走型支援を行い、企業の採用力向上を図ります。今後とも、就職先として、若者に県内企業を選んでもらうための様々な取組みを実施し、企業の人材確保を全力で支援して参ります。
建設産業の働き方改革について
はしぐち海平 質問
建設産業の働き方改革について質問します。働き方改革とはもうすでに皆さんご存じとは思いますが、働き方改革にある背景は、生産年齢人口が想像以上に減少していることが挙げられております。生産年齢人口は2060年にはピーク時の約半分、4,418万人になるというデータもあります。この労働人口が減っていく中で、労働力不足を解消するためには、働き手を増やすこと、これまで少なかった女性技術者等の働き手を増やすこと、それと生産性を上げること、この様な事に取り組むというのが、働き方改革であります。官邸のホームページには「働き方改革は、一億総活躍社会実現に向けた最大のチャレンジ。多様な働き方を可能とするとともに、中間層の厚みを増しつつ、格差の固定化を回避し、成長と分配の好循環を実現するため、働く人の立場・視点で取り組んでいきます。」と記載されております。
建設業の方と働き方改革の話題が出るときに、「労働力が減っているのに、働き方改革で労働時間ばかりが短縮されれば、ますます工事が進まんようになる。」この様な話を聞くことがありました。私も実際そう思っておりましたが、人口が減っているからこそ、働き方改革をして労働人口を増やしていく努力をしなければならないし、また働く時間を減らして生産性を上げる取組も進める努力をしないといけないと思ったところです。
建設業の現状を少しお話ししますと、就業者に関しては年々減少しております。建設業の就業者はピークの平成9年には685万人だったのが令和4年には479万人と、25年間で約206万人も減少しております。技術者※1においては平成9年が41万人だったのが、令和4年は37万人。技能者※2は平成9年が455万人だったのが、302万人となっております。技術者においては平成22年が31万人だったので、ここ最近では増加傾向にあると思います。しかし技能者に関しては、25年間で約153万人も減少しております。そしてまた高齢化も問題となっております。就業者の3割以上が55歳以上、29歳以下は1割以下となっております。この数字は全国のものですが、この傾向は本県にも当てはまることだと思います。この様な状況から、人材の確保、そして生産性向上を行っていかなければならない、ということは働き方改革を進めていかなければならないのではないのでしょうか。
※1 技術者:施工管理を行う者であり、直接的な作業は基本的には行わない労働者のこと
※2 技能者:建設工事の直接的な作業を行う、技能を有する労働者のこと
また令和元年に担い手3法が改正され、新担い手3法となりました。担い手3法とは「公共工事の品質確保の促進に関する法律、建設業法及び公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」です。この担い手3法の中に、働き方改革の推進として、適正な工期設定だったり、適切な設計変更、情報通信技術の活用による生産性向上等が記載されており、法に基づいて働き方改革を進めていかなければなりません。
そのような中で、例えば本県では令和3年度の熊本県発注工事の週休2日の取組状況は40.9%となっており、全国平均の30.7%を上回る数字となっております。この数字をみると県も働き方改革を進めているんだと実感しております。しかしながら現場の声を聞いてみると、技術者からは書類作成に時間がかかり、働き方改革をあまり実感できない、との声も聞こえてきます。
そこで質問です。建設産業の働き方改革について、県はどのように取り組んでいるのか、土木部長にお尋ねします。
土木部長 答弁
建設産業は、地域のインフラの整備やメンテナンス等の担い手であると同時に、災害時には最前線で社会の安全・安心の確保を担う地域の守り手として、県民の生活や地域経済・雇用を支える大きな役割を担っております。全国的に建設業就業者の高齢化が進む中で、本県では、熊本地震以降、建設業界の御尽力もあり、建設産業の役割や魅力に対する理解が進み、若手入職者が微増するなど、明るい兆しが見えております。しかし、業界全体としては、全国と同様に、次世代への技術の継承、若手人材の育成・確保が、引き続き重要な課題となっており、議員御指摘のとおり、建設産業の働き方改革を進めることが必要です。
そこで、県としましては、まずは週休2日制の拡大に取り組むとともに、建設現場のあらゆるプロセスへのICT導入の推進などにより生産性の向上を図ることが重要と考えております。県では、昨年まで、災害復旧工事などを除く工事で、現場での作業を行わない、いわゆる現場閉所を前提とした週休2日を導入して参りました。これに加え、今年度からは、現場閉所が難しい工事にも、技術者等が交替しながら休日を確保する交替制を追加し、更に多くの工事現場において週休2日を導入できる環境を整えました。さらに、今年6月以降の総合評価落札方式の入札では、週休2日やICT施工に取り組む場合に、加点する評価項目を追加することといたしました。
なお、業界独自の取組みとしまして、現場技術者が作成していた工事関係書類の一部を事務職員が担うことで、技術者の時間外勤務の縮減につなげた事例もあり、県としましても、このような取組みを広げていきたいと考えております。また、令和6年4月からは、 建設産業も労働基準法に基づく時間外労働規制の対象となります。このようなタイミングであることも踏まえまして、更に働き方改革への意識醸成も図って参ります。
今後も、持続可能な建設産業の実現に向けて、建設業界と連携協力し、建設産業の働き方改革が着実に進むよう、しっかりと取り組んで参ります。
はしぐち海平 再提案
土木部長から答弁いただきましたが、 建設産業の働き方改革を促進させるためには、現実問題として、現場で働いている方々、そして、受注した会社が無理をしない工期、また、工事の内容に合った設計変更など、このことは品確法にもありますので、発注者側の理屈だけではなく、品確法を厳守して、そして、受注者とよく協議を行って、来年度から正式に始まります働き方改革を進めていただきたいと思います。このことは、土木部だけではなく、農林水産部をはじめとした公共工事すべてのことに当てはまることですので、しっかりと取り組んでいきたいと思っておりますので、連携を図りながらお願いいたします。
私も、これからも受注した企業に話を伺いながら、リサーチしながら、働き方改革が本件においてスムーズに進むよう、指摘して参りたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
残り5つの質問内容は、また次回以降の更新で
今回、6月定例会一般質問の一部を、書き起こししています。引き続き残りの質問内容についても書き起こしを公開していきます。またお読みいただけると幸いです。